当院は1990年(平成2年)の開業以来、「鍼を刺す時の痛みを最小限に抑える」ことに重点を置いています。「こりに刺激を与えると、痛みを和らげるように、生体がごく少量だが麻酔薬の約6倍の強さのβエンドルフィンを出す」という理論を追求し、ディスポ鍼(使い捨て鍼)を用いて、患者様の状態に合わせた治療を行っています。

ディスポ鍼は、切れ味の良い状態の鍼で皮膚への刺激を最小限に抑えるため、1本1本新しいものを使用しています。この方法は、当院の開業当時はまだあまり行われていませんでした。また、十数種類もある「太さ」や「長さ」の鍼を細かく使い分けしています。

痛みを感じる条件は他にもたくさんの要因があります。例えば、痛み止めを常用している方、皮膚の過敏な方、虚弱体質の方、運動をあまりしない方、そして患者さんとの信頼関係などです。鍼に限って言えば、「こり」の硬さ、強さに合わない太い鍼は強く響き痛みも強く感じます。また、その「こり」に対して鍼が細すぎれば、心地よい刺激を与えるのには十分でないことがあります。「こり」の状態(疲労物質の蓄積具合や時間経過を見据えた「こり」の硬さ)に鍼の刺激量を合わせればβエンドルフィンが刺入部位の周りから分泌され、痛みが和らぎ、温まり、血行促進し、ツボの効果がもたらされます。治療により自然と分泌されるβエンドルフィンは魔法の薬であると思います。

また、私は2004年から、大牟田鍼灸マッサージ師会の会長を15年2か月務め、2015年からは4年間(公益社団法人)福岡県鍼灸マッサージ師会副会長、筑後地区会長を合わせて務めました。その功績を評価していただき、平成31年2月には光栄にも【厚生労働大臣賞】を、受賞する事ができました。治療を通じて、魔法の薬「βエンドルフィン」の効果を患者様に感じていただいきたいと思っています。

吉村鍼灸療院 院長 吉村正秀